電磁気とは切っても切れないものに、フレミングの左手の法則があります。左手の中指と人差し指と親指を互いに直角に立てて、それぞれ、導線を流れる電流の向き、導線が置かれた場所の磁場の向き、導線が受ける力の向きを表します。テストの時は、左手の指を立てて、あっちに向けたりこっちに向けたり、手首をいろいろとひねる姿が見られます。
「フレミング」という限りは日本固有のものではなく、万国共通の法則で、世界中の高校生が日本人と同じように左手の手首をひねっているのだろうだとばかり思っていました。私がこのフレミングの左手の法則を説明し始めるや、中国人の学生たちは、左手の親指だけ広げて他の4本の指はぴたりとくっつけて伸ばし始めました。親指が力の向き、4本の指が電流の向き、そして磁場の向きは手のひらから手の甲に向かっているというのです。確かに、そういう手の形を取れば、フレミングの左手の法則と同じ結果が得られます。
マレーシアの学生も、その中国人学生たちの手の使い方に驚いていました。やはり、フレミングの左手の法則を教わってきたそうです。すると、中国人は独自に、この「中国人の左手の法則」とでも呼ぶべき法則を編み出したのでしょうか。この法則は何という名前なのか聞き忘れたことを後悔しています。
中国語には、元素名など独特なものがたくさんあることは知っていましたが、こういう「法則」レベルでも独自の展開を遂げているとは、私にとっては実に新鮮な驚きでした。そういえば、先週の新聞に、国によって割り算の筆算の仕方が違うという記事が出ていました。ですから、フレミングの左手の法則が多少違っていたとしても、驚くにはあたらないのかもしれません。
そうはいっても、今日のこの体験は、私にとって久々に味わう心地よい意外さでした。こんな経験ができるところが、日本語教師の楽しみでもあります。
金原 宏
Posted by KCP


